【紙ふうせんブログ】

令和4年

紙ふうせんだより 1月号 (2022/02/17)

人間はつらいよ

明けましておめでとうございます。ヘルパーの皆様、いつもありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

寅年なので寅さんの話をします。映画「男はつらいよ」の第1作目の公開は1969年、興行成績も微妙な状況で当初は2作品で終了予定だったそうですが、シリーズ映画を欲していた松竹の方針で続編が決定、徐々に人気が出て第8作以降は大ヒットを記録、ついには世界最長の映画シリーズ(作品数)としてギネスにも認定されました。

生きづらさを抱えている寅さん

直情傾向で思い込みが強く粗暴でデリカシーが無いなど人のダメなところを煮詰めたような寅さんは、一方で人懐っこく人情に厚く面倒見が良く純粋一途な愛すべき面を持っています。そんな性格だからこそマドンナなどに要らぬおせっかいを焼いては騒ぎとなります。寅さんに親しみが湧くのは、そのようなダメさを多くの人が内に秘めているからでしょう。カッコつけようとしてはいますが、寅さんはダメな自分を隠すことができません。

中学2年の時には「やっぱりお前は芸者の息子か、どうせ家じゃろくな教育をしてないんだろ」と言い放った校長を殴って退学になっています。誰もが折り目正しく生きられるわけではなく、寅さん自身も差別的な言葉を多用し人を小馬鹿にするようなところがありますが、ここに物語の基本構造が見えてきます。「バカだねー、ホントにバカだ」とか「死んでいた方がマシ」などと罵られる寅さんは、人の世の差別(※1)を一身に背負うような身であるけれど、めげずに生きているのです。

気が付いている人もいると思いますが、寅さんは発達障害を持っていると思われます。「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2016年10月号には、「学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラムなど発達障害的傾向を有する人物は、映画の主人公としても光を放っています。その頂点に立つ人物といえば、渥美清演じる「男はつらいよ」シリーズの「寅さん」こと車寅次郎です」との記事がありました。




「映画で感じる発達障害・愛着障害の豊かな可能性」ノーマライゼーション 障害者の福祉(2016年10月号)

(略)寅さんは、自身のバカの根源は出自にあると思っています。父親がへべれけに酔ったときに芸者に孕(はら)ませた子どもであり、優秀な妹さくらとは異母兄妹です。しかも生母とは別れたままであり、愛着上の問題も抱えています。実父からはたびたび折檻(せっかん)されています。折檻の原因は盗みや不良仲間との喫煙です。実父が寅さんを叱る時、「お前はへべれけの時つくった子どもだから、生まれついての馬鹿だ」と言っています。寅さんは身体的にも心理的にも虐待を受けています。

(略)寅さんには、すぐ手が出てしまう衝動性があり、取っ組み合いのケンカが定番になっています。衝動性のほか、初期作品群では多動、不注意も顕著です。加えて、睡眠、覚醒にも問題があります。開巻一番の夢のシーンは昼寝によるものですし、だれよりも早い就寝、だれよりも遅い陽が高くなってからの起床となります。多眠傾向が顕著です。

毎度お馴染みの寅さんの葉書も、当初は倍賞千恵子が左手で書いていたとのこと。さすがにその後は美術スタッフが書いたようですが、学習障害の一つである書字障害が疑われます。ただし、井上ひさしは、寅さんを「言葉の達人」と評しています。中学校も卒業せずにヤクザ稼業となりますが、その正体は、ADHDと学習障害をベースとする「学習困難=学校不適応」だったといえます。寅さんは発達障害の傍証に事欠かない人物ですが、前述したように愛着上の問題も抱えています。




※1元来は仏教用語で「しゃべつ」と読む。仏教では万物の真の姿は一如(一つの如し)であるが、個別的には条件に応じて差異を現ずると考えるので、差異は当たり前だが本質は平等と考える。一方で現在の差別問題は、差異を理由に不平等の扱いや侮蔑をしており、現象と本質の理解が転倒している。問題は差異にあるのではなくそれに拘る心の狭さ(執着)にある。
 

僕たち人間は、ちょっとしたことで人を差別する

差別とは「合理的な理由なく分け隔てした扱いを受けることを意味します。表現としては、ある個人や集団に対して、偏見、誹傍、侮辱など、著しく傷つける表現や現に存在する差別を、温存・助長することに結びつく表現などがあります」と、人権啓発用語辞典にあります。

社会制度としての差別は、社会の仕組みが特定の属性や集団に不利益(または利益)となるように構造化されていることですが、そのような差別制度が無かったとしても、人の心の中には残念ながら差別意識があり、それは忌み嫌う言葉(ヘイトスピーチ)として表出されます。ヘイトスピーチ(憎悪表現、差別表現)は、「自分から主体的に変えることが困難な事柄(※2)に基づいて、属する個人または集団に対して攻撃、脅迫、侮辱する発言や言動のことである」とされています。

先の校長の寅さんへの放言は、自分ではどうすることもできない事柄で寅さんを非難しているので明確な差別です。今の時代にはこんな先生はまずいないでしょう。差別は悪いということが明確に社会的合意事項となり、どのような思考や表現が差別になるかということが広く論じられるようになってきたからです。現代の観点から見れば、男らしさの呪いに縛られているような寅さんというキャラクターや、ジェンダーバイアス(※3)そのままのタイトルは、社会が内包する性差別を描いているとも言えます。

そう、生まれながらのバカとして描かれている寅さんは、差別される立ち位置にありながら、自分のバカさ加減と社会構造ゆえに自身も誰かを差別してしまっているのです。つまり人間はバカなのです。そのような業を持っている人間の辛さや醜さを解っていて山田洋二監督は、バカを愛おしく描いています。監督は「人間に差別意識があることの不条理さとでも言いますか、そこにいつも関心を持ち続けなくてはいけないと思っています。僕たち人間は、ちょっとしたことで人を差別することがたくさんあるんですね(※4)」と述べています。逆説的には、寅さんを見下して全く相手にしないような人こそが自らのバカさに気付かない大バカだと考えれば、劇中の主要人物は口は悪くてもまるごと寅さんを受け入れているのですから、寅さんの世界には、差異はあっても差異を理由に分け隔てする「差別」は無い、とも言えるのです。

※2一般的には、出自(人種・出身地・民族・伝統宗教・一族)・性別・容姿・健康・性的指向などが考えられる。

※3社会的・文化的な刷り込みに基づく性的偏見。

※4「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2010年5月号

 

その言葉で傷つく誰かを想像すること

どんな言葉が人の心を傷つけるのでしょう。例えば「親の顔が見たい」という非難は、個人の過失を親や血縁に当て付けたもので、自分ではどうしよもない生まれを非難しており強烈な否定となります。舅や姑が女の子を生んだ嫁に対して「男の子じゃなくてガッカリした」というのも、嫁や孫の全否定となってしまっています。異性に嫌悪感を持ちながら「男(女)にはなりたくない!」というのも性別による全否定です。

では、「障害者にはなりたくはない」という言葉はどうでしょう。誰しも障害者になりたいと思ってなったわけではないのですから、その言葉を聞いて心がえぐられる人は必ずいます。「認知症にはなりたくない」「生活保護にはなりたくない」という言葉には、差別意識は潜んでいるでしょうか。そのように考えたり、思わず言葉が口をついて出てしまったことはありませんか。

「俺はな、学問つうもんがないから上手い事はいえねえけれども、博(ひろし)がいつか俺にこう言ってくれたぞ。自分が醜いと知った人間は決してもう、醜くねえって…(※5)」 これは寅さんのセリフです。自らの醜さを知るからこそ、人に優しくなれるということもあるのです。

 
※5 第42作(1989)「男はつらいよ ぼくの伯父さん」より。なお渥美清亡き後に制作された第50作(2019)は、この後日譚となっている。
 

 

情報共有

新型コロナ対策情報

「濃厚接触者」の定義

濃厚接触者とは、コロナ感染症発症者の発症日の2日前から療養終了日までの間に、近距離で接触あるいは長時間接触し感染を受けている可能性が高い方。無症状陽性者との接触の場合は検体採取日の2日前)

接触している者。

○陽性確定者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があったもの

○適切な感染防護なしに陽性確定者を診察、看護もしくは介護していたもの

○陽性確定者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高いもの

○手で触れることのできる距離(目安として1m)で、必要な感染予防策なしで、陽性確定者と15分以上の接触があったもの(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から総合的に判断)

参照:知人や同僚が新型コロナウイルス感染症の患者となった場合は | 世田谷区ホームページ (setagaya.lg.jp)

(濃厚接触者の考え方について、整理をしました)

【個々の状況から総合的に判断】

この観点から考えれば、家庭内別居状態にあるような生活が分離されている状況ならば、同居だからといって一律に濃厚接触者に該当するとは思われない。

(寮で陽性者が発生したからといって寮生全員が濃厚接触に該当するとは限らないのと同じ。ただしデルタより強い感染力に留意するべし)

【適切な感染防護】

診察・看護・介護の度合いによりますが、体液に触れないような短時間の会話程度の接触であれば、「必要な感染予防策」と同じ考えで良いと思われます。

【必要な感染予防策】

⇒マスクの着用(できるだけ双方着用が望ましい)、適度な距離感(換気)、(当然ですが手指消毒)

※感染疑いの方と接触する場合はマスク2重など更なる工夫が必要です。(事務所に備蓄防護服あり)




※実際、昨年デルタ株のピーク時の保健所の判断では、既にマスクを着用しての訪問介護の接触程度では、濃厚接触にはならないとの判断になっていました。また、既に昨年より「積極的疫学調査は行わない」という方針が都より示されており、保健所からの積極的な濃厚接触者の追跡と検査は行わない事となっているようです。

そのような状況から、現在の市中感染は感染ルートがほぼ不明であるため、「濃厚接触者」は陽性者と接触者した者の自己申告となりつつあるようです。「濃厚接触者」の自覚がある方は、下のチエックシートで自己判断を行い自宅待機(要保健所連絡)をすることとなります。

(該当の疑いがある方は事業所へ相談してください。「自分は大丈夫」という正常性バイアスを留意して、事業所の意見を求めるなど冷静な判断が必要です。)




★濃厚接触者の自宅待機の健康観察期間は原則は最終接触日より10日(接触日を1日目にカウント)

★エッセンシャルシャルワーカー(介護職含む)については、6日目と7日目に抗原検査キットで陰性と出た場合に7日目より就業できるという判断に変更となっています。なお、10日目までは公共交通機関や不要不急の外出は避けて下さい。(逼迫時は“毎日の抗原検査で就業可”の厚労省案もあります)

 
【無料でPCR検査が受けられます】 都事業  

東京都で実施しているPCR等検査の無料化事業について | 世田谷区ホームページ (setagaya.lg.jp)                               

発熱などの症状のない都民の方で、感染している可能性に不安を抱える方等

※濃厚接触者は保健所対応なので不可

(区内近辺の会場)

ウエルシア薬局世田谷千歳台店・世田谷千歳台二丁目店・世田谷砧店⇒各店舗

代田区民センター・宮坂区民センター⇒(コールセンター)0120-758-167

東京都PCR等検査無料化事業に関するお問い合わせ先03-4405-4958


2022年7月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
  • 求人情報
  • 紙ふうせんブログ
  • リンク集
  • 資格取得支援制度

運営法人:紙ふうせん株式会社

紙ふうせん

住所:〒154-0022
東京都世田谷区梅丘1-13-4
朝日プラザ梅ヶ丘202(MAP

TEL:03-5426-2831
TEL:03-5426-2832
FAX:03-3706-7601

QRコード 

アルバイト募集情報


ヘルパー募集(初心者) 
ヘルパー募集(経験者)