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令和2年

紙ふうせんだより 11-12月号 (2021/01/25)

動的均衡という確かさと不確かさ

ヘルパーの皆様、大変お世話になりました。年末年始のケアに入って下さるヘルパーさん、本当にありがとうございます。皆様、来年もどうぞよろしくお願いします。

日々の入れ替わりによって保たれる身心

突然ですが問題です。「ある程度の年齢を越えたら筋肉はつかないので高齢でのリハビリ効果は望めない。」答えはNOです。筋肉は20代をピークになにもしなければ加齢とともに落ちていきますが、上手に運動を行うと90歳になっても筋肉を強くすることが出来るとされています。もちろん高齢になれば遺伝子や細胞の代謝能力の限界などがあって20代と同じような運動効果は望めません。しかし、適切にリハビリをすれば必ず効果はあるのです。

なぜでしょうか。人間の身体は全体で60兆個の細胞がある中で毎日1兆個の細胞が新しい細胞と入れ替わると言われています(※1)。不要になった細胞は自律的に機能停止(アポトーシス)して分解されて新たな細胞の材料となり、元気な細胞が分裂して入れ換わります。この時、身体はとても合理的なので、新しい細胞を必要な量しか作りません。運動不足(筋肉が必要無い)となると筋肉が衰えるのはそのためです。逆に、日常生活での運動量(必要とされる筋肉量)を無理のない範囲で増やしていくと、筋肉は全体として強くなることができるのです。人間の体は微細なレベルで見れば絶えず入れ替わっており、細胞の生死の繰り返しによって全体のバランスを保っている「動的均衡(どうてききんこう)」にあるのです。

動的均衡はあらゆるものに見い出されます。宇宙は人間の尺度では不変のように見えますが、銀河や星々など全ての天体は高速で運動しながら生成と消滅を絶えず繰り返しています。鴨長明の『方丈記』の冒頭の一文の「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。」も動的均衡です。宮澤賢治は、動的均衡によって存在する人間の確かさと不確かさを『春と修羅(しゅら)』の序で次のように表現しています。

「わたくしといふ現象は / 仮定された有機交流電燈(※2)の / ひとつの青い照明です /(略)/

風景やみんなといつしよに / せはしくせはしく明滅しながら / いかにもたしかにともりつづける / 因果交流電燈(※2)の / ひとつの青い照明です /(略)」

※1早い細胞(腸の微絨毛など)は約1日で全て入れ替わり、遅い細胞でも約1年で全て入れ替わる。筋肉は早い細胞で1ヶ月で約60%、遅い細胞でも約200日で全て入れ替わる。脳は早い細胞は1ヶ月で約40%、遅い細胞でも約1年で全て入れ替わる。(単純計算すると2カ月で全身の細胞が入れ替わる)

※2賢治の造語。24コマの静止画で1秒の動画を作り出す「映写機」の隠喩と考えると理解しやすい
人間は、日常生活の些細な原因と結果(因果)の積み重ねの連続によって構成されています。生活習慣病もそうですが、もっと深く見ていけば私たちの心の有り様もそうではないでしょうか。自分と周囲との有機的な交流(※3)の中で日々私たちは、怠惰に流されそうになるのを押しとどめたり、諦めそうな気持を奮い立たせたり、飛躍したいという思い委縮させたりして、全体としては“仮定された自己像”の中に自分が納まるように生きています。先週はやる気になっていた利用者さんが一週間たったらその気が失せていたというようなパターンも、“仮定される今後の生活像”の中に自己像が収まりにくくなると不安になってくるので、無意識的に考えを調整して気持ちが入れ替わってしまったとも言えるのではないでしょうか。

※3多くの部分が緊密な連関をもちながら全体を形作っているさま。【動的均衡】互いに逆向きの過程がほぼ同じ速度で進行することにより、全体としてはバランスが保てている状態。(画像は「太極図」。陰陽の均衡によって世界が成り立っている事を表す道教のシンボル)
昨日はどこにもありません

三好達治

昨日はどこにもありません

あちらの箪笥のひき出しにも

こちらの机の引き出しにも

昨日はどこにもありません

 

それは昨日の写真でしょうか

そこにあなたの立っている

そこにあなたの笑っている

それは昨日の写真でしょうか

 

いいえ

昨日はありません

 

今日を打つのは今日の時計

昨日の時計はありません

今日を打つのは今日の時計

 

昨日はどこにもありません

昨日の部屋はありません

それは今日の窓掛けです

それは今日のスリッパです

 

今日悲しいのは今日のこと

昨日のことではありません

昨日はどこにもありません

今日悲しいのは今日のこと

 

いいえ悲しくはありません

何で悲しいものでしょう

昨日はどこにもありません

何が悲しいものですか

 

昨日はどこにもありません

そこにあなたの立っていた

そこにあなたの笑っていた

 

昨日はどこにもありません
積み重ねていけば変わることができる

『昨日はどこにもありません』という三好達治の詩には「今日を打つのは今日の時計 / 昨日の時計はありません」という一節があります。よく「先週言い聞かせたのに、今週になったら忘れてて困っちゃう!」というケアの嘆きも聞こえてきますが、それは「先週の話」です。同様に、無気力な態度を示す方の態度も明日になれば「明日の態度」が出てくる可能性があります。一生涯持続する固い決意というのはありません。同様に、一生涯持続する恨みや不安もまたありません。それらは瞬間瞬間の因果的・有機的積み重ねの結果として、全体としては連続しているように見えているだけです。

心や体が日々入れ替わっていくということは、少しずつでも好ましいものを積み重ねていけば全体も好ましく変わっていくことができるということを示しています。変わろうとした時に必要なのは瞬間の強い言葉や固い決意ではなく、日々の働きかけなのです。逆に言えば、利用者さんや自分に常に新しい励ましを送らなければ、心は少しずつ枯れてしまうのです。

日々の励ましが現実を変えていく

物事の取り組みが長続きしているような方は、何か失敗や嫌なことがあっても気持ちを切り替えて「よし、また頑張ろう!」と、気持ちを切り替えることが上手なように思われます。頑張るという言葉の裏側には、「そうありたい自分」という理想のイメージがあります。それは「いつも笑顔でいたい自分」であったり「成功を収める自分」であったりします。そのようなイメージは日々少しずつ変化しながら柔軟性を獲得し様々な物事を受容できるよう、多様性をもつものへと発展していくことが理想的です。また、そうならなければ自己像は凝り固まった融通のきかないものとなってしまい、身心機能や環境の大きな変化に対応できなくなってしまいます。

「失敗も成功のうち」「待てば海路の日和あり」といった気持ちの切り替えは、自己像(セルフイメージ)の豊かさ(多様性)のなせる業なのです。このような構造は、福祉の理念が「多様性尊重」を理想の一つとして掲げ、多様な個を柔軟に包摂できる社会がどんな人にとっても生きやすい暮らしやすい幸せな社会であると考えるのと原理は同じです。

ところで「現実は甘くない」として過度に「現在の有り様」にこだわる人もいます。このような方は「現実と理想」を対比させて、「現実を見るべきである」と主張します。しかし人間の身心も人生も社会もせわしく明滅しながらその姿を保っているのですから、変わり得ることもまた確かなのです。今日の単純な延長線上に明日があり、それがずっと続いていく幻燈を見るような錯覚を持ってしまいがちですが、良くも悪くも少しずつ変わっていくのですから、良く変わっていく道しるべとなるような理想像をイメージしていきたいと思います。

 
紙面研修   セクシャル・ハラスメント
1989年の新語・流行語大賞の新語部門・金賞は「セクシャルハラスメント」でした。30年以上経過している現代では「セクハラ」という言葉を知らない人はいないでしょう。一方で2018年4月、財務次官がその立場を利用して女性記者に「おっぱい触っていい?」「手縛っていい?」「ホテル行こうよ」などのセクハラ発言を繰り返していたことが明らかになりました。その際、責任を問われた麻生太郎財務相が「セクハラ罪っていう罪はない」とセクハラが悪くないような時代錯誤発言をして、まともな男女から嫌悪されています。ジェンダー・ギャップ指数が121位たる所以です。

セクハラは犯罪です。(「準強制わいせつ罪」や「強制わいせつ罪」等となる場合がある)

「虐待罪は無い」と言って虐待(「暴行罪)等)を擁護できないように、セクハラも犯罪となります。以下は、実際に判決で準強制わいせつ罪が成立したケースです。テレビ局に就職を希望している被害女性に対して、加害者が「自分は人事部課長で権限があるから、そういう採用はできる」と騙り、まんが喫茶やカラオケ店の個室で「本当にこのテレビ局に入りたいんでしょ、第一志望でしょ」などと被害者に申し向け、キスをするなどのわいせつ行為に至ったものです。(対価型セクハラ)

 

職場におけるセクシャルハラスメント

《対価型セクハラ》労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けること。

《環境型セクハラ》労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。(例:事務所内にヌードポスターを掲示している)

《職場とは》事業所以外でも以下のような場所や状況は「職場」となります。取引先の事務所、取引先と打合せをするための飲食店(接待の席も含む)、顧客の自宅、取材先、出張先、業務で使用する車中、勤務時間外の「宴会」などであっても実質上職務の延長と考えられるもの。
◇ 「男女雇用機会均等法」のセクシュアルハラスメント対策規定

第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
 

セクシュアルハラスメントの状況は多様であり、判断に当たり個別の状況を斟酌する必要があります。(略)男女の認識の違いにより生じている面があることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当です。(引用:厚労省労働局雇用均等室)

 

“介護ハラスメント”への対応義務が事業者にはある

“介護ハラスメント”とは、利用者さんやそのご家族からのセクハラや暴言・暴力です。近年問題視されており、来年度の介護保険制度改正ではその対策が盛り込まれる方向です。

《ハラスメントの具体例》介助中に胸やお尻を触られる。アダルトビデオを無理やり見せられる。学歴が低いことをバカにされる。職員へ命令し思いどおりに動かないと殴ったり蹴ったりする。等

★介護職員が利用者さんにセクハラをするケースは、介護虐待であり犯罪です。一方で、必要な介護をしているにも関わらず利用者さんから「セクハラを受けた」と介護職が言われてしまうケースも。

【“介護ハラスメント”への介護現場対応】(参考文献:WEBサイト「ケアスタイル」)

・パワハラは優しい声で注意し、可能な限り利用者さんと距離を置き、身の安全を確保する。

・セクハラには「やめてください」「イヤです」と自分の意思をはっきり伝える。

・利用者さんと距離ができたら速やかに事業所に報告。指示を仰ぐ。

・介護職員は我慢をしない。介護職員に我慢をさせない。

・介護職員は強い言葉で注意しにくいため、嫌がっている気持ちが利用者さんに伝わりにくい。そのため介護職員から訴えがあった時は、問題が長期化している場合がある。
考えてみよう

①   利用者さんからの介護ハラスメントにはどんなケースがあるだろう。

②   それにはどんな背景があるだろう。③改善方法を考えてみよう。
 
《介護ハラスメント 背景要因例》

・ハラスメントという言葉もなく問題意識が低かった時代を生きてきた。

・一部の方の場合、男尊女卑の考えを今でも持っている。

・利用者さん自身が認知機能の低下で自分の行動をきちんと律せなくなっている。

・出来ていたことができなくなる苦しみ(介護を受ける苦しみ)がストレスとなり、そのイライラをぶつけてしまう。

・感情のコントロールが難しくなり、ダメなことだとわかっていても暴言や暴力が止まらない。

・介護職員に安心感や親近感を持っており、一方的な感情をぶつけてしまう。

・介護職員と感情的な接触をもちたい気持ちや孤独感から、からかいや挑発をしてしまう。
《ハラスメントは人権侵害です》

ハラスメントは、広義には「人権侵害」を意味し、性別や年齢、職業、宗教、社会的出自、人種、民族、国籍、身体的特徴、セクシュアリティなどの属性、あるいは広く人格に関する言動などによって、相手に不快感や不利益を与え、その尊厳を傷つけることを言います。(引用:WEBサイト「日本の人事部」)

ハラスメントとは、相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせることであり、「嫌がらせ」を指します。ここで重要なのは「行為者がどう思っているのかは関係なく、相手が不快な感情を抱けばハラスメントになる」ということ。概念としてはシンプルで分かりやすい定義ですが、人の感情は表立って現れないこともあり、「そんなつもりではなかった」などと行為者がハラスメントをしていることを理解できていないケースも少なくありません。現在は、セクシャル・ハラスメント(セクハラ)やパワー・ハラスメント(パワハラ)、モラル・ハラスメント(モラハラ)、マタニティ・ハラスメント(マタハラ)、スモーク・ハラスメント(スモハラ)など、さまざまなハラスメントが問題となっています。
職場の同僚や上司からのハラスメントへの対応義務が事業者にはある
【重要なお知らせ】

①   職場の同僚や部下へのハラスメントは絶対にいけません。

②   紙ふうせんの就業規則にはセクハラ禁止規定があり、破った場合は服務規律違反となります。

③   同僚からのハラスメント相談窓口は所属長となりますが、所属長に相談しにくい場合等は、相談窓口は代表取締役となります。(03-5426-2831 加藤はるみ)

( “介護ハラスメント”に関しては、サービス提供責任者や管理者、担当ケアマネが相談窓口となります)

④   相談に対しては、事業所や法人として責任をもって対処します。

⑤   相談については、事実関係を迅速に正確に確認します。

⑥   被害が確認できた場合には、被害者に対しては適正な配慮と必要な措置を実施します。

⑦   ハラスメント行為者に対しては適正な措置を実施します。

⑧   再発防止の措置の実施をします。

⑨   当事者等のプライバシー保護に努め必要な措置を実施します。

⑩   ハラスメント相談、報告協力等を理由に就業上、不利益となるような取り扱いは行いません。

※今回のセクハラに関する特集は「テレワーク助成金」取得にあたっての必要事項(セクシュアルハラスメント等を防止するための措置をとっていること)でもあるため、掲載させて頂きました。
 
 


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