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平成25年

平成25年8月 紙ふうせんだより (2013/12/26)

皆様、いつも有難うございます!暑さに負けぬようご自愛下さい。

 

暑い日差しの中で、陽炎にかすむ街は蝉の声だけが響き、かえって静かに感じます。

 

     やがて死ぬけしきは見えず蝉の声 松尾芭蕉

 

ラジオからはおごそかな口調で、口語体の難解な言葉が聞こえます。皆一同に頭を垂れ、全神経をラジオに集中しますが、電波状態は悪くところどころ聞きとれません。

 

「耐へ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス…」

 

誰かの押し殺した泣き声が聞こえる。むしろ、耐えがたきを耐えてきたのは今までだった。全ては勝つ為だった。それが、この上にまた耐えなければならないのか。降伏して泰平の世を開くとは、今までの聖戦や一億玉砕のかけ声は何だったのか。嗚咽がさざ波のように広がっていき、覆いかぶさるようにさらに蝉が甲高く鳴き喚めく。日本は戦争に負けてしまった。大きく口を開けた虚無の淵に立たされた人々は、立っているのがやっとだった。何を信じればよいのだろう。平和などは想像もつかなかった。それ以上に、ただただ皆疲れ果てていた。

 

68年前の8月15日、女学生だったあるご利用者は、学徒動員で川崎の飛行機工場にいたそうです。玉音放送の後、もう帰って良いと言われ、現実感の無いまま荻窪の自宅に帰った。その日から灯火管制が解除され、街に明かりが戻ったという事です。

 

そして人々は生きるための戦いを開始した。今日から明日へ命をつなぐ為に、家族の為に、死んでいった同胞の為に、死ななかった自分は生き延びる義務があった。

 

飢餓と混迷の中、時に争い騙し騙されまた法を犯し、食うために必死だった。子供を育てる為には何でもやった。その子らが70歳を越えようとし、孫は現役世代で活躍している。ありし日の日本を聴き、父母・祖父母の心に想いを馳せると、父母の血肉なくして子の生存そのものは無く、この恩は何をもってしても報いる事はできないでしょう。

 

戦前世代は、今再び生きる延びる為の戦いを開始しています。介護を受けるという事は、1日でも生きながらえる事に価値を置きながらも、最後のその日まで命の歩みを続けるという事です。私たちが要介護高齢者と共に学ばなければならない事は、生きるための努力を続ける事そのものが、“生きている実感”であり“充実感”であるという事実ではないでしょうか。近年の、守られた環境で生きる為の努力を少なくしかしてこれなかった若年世代に、人生への価値の喪失感が見受けられるのは、同じ理由からだと思われます。

 

私たち介護職は、お仕着せの親切な過剰介護によって、本人の生きる努力や意欲を奪ったりしないように心掛けなければなりません。出来得ない親孝行の代りに、利用者の皆様にせめてお世話させて頂く事で、わずかでも恩返しが出来れば、有り難いです。私たちが戦前世代の皆様と関われる時間も、残り僅かになってきました。尊敬と感謝の念をこめて。


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