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平成25年

平成25年10月 紙ふうせんだより (2013/12/26)

赤や黄色の色さまざまに木々が錦に染まる秋は、人生における晩年に例えられます。

 

やがて葉が一枚一枚と散っていきます。自然も人間も大きく変わる時です。

 

腰が痛くなった。長く歩けなくなった。物忘れが多くなった…。少しずつ身体機能は低下していきます。しかし、それらを“喪失”ととらえるのは早計です。木々の紅葉は、葉にある栄養を根に送って身軽になるための冬支度です。枝に葉が残れば雪の重みで枝も折れてしまいます。そして根に栄養を蓄え、木は冬を越すのです。

 

一枚一枚葉を落とす事は、自分の“執着”や“こだわり”から離れ、無駄をそぎ落とし、精神的に純化されていく過程でもあります。自分にとってかつては大切だったものが思い出として遠のいて行き、本当に大切なものだけが残っていきます。根は地上からは目に見えません。しかし確実に蓄えられていくものがあります。それは、目に見えるものや社会的なモノサシから離れ、感性が研ぎ澄まさていくなかで得られていく心の豊かさです。

 

認知症がある方は、自分の気持ちを上手に伝える事が出来ずに、周囲からは何も解らなくなった人のように思われる事がありますが、決してそんな事はありません。防御の無いむき出しとなった感性が鋭敏になって、周囲と衝突する事もありますが、鋭敏な心ゆえに、優しい意味の言葉とは裏腹の苛立ちや、冷たい眼をしっかりと感じているのです。

 

もう子供の顔も解らなくなってしまい、時々不安な表情を浮かべているある方が、介助者と散歩をしていました。目の前を風が通り過ぎていくと、赤い葉がひらひらと落ちてきます。その光景に、にっこりと穏やかな表情を浮かべたその方は「持って帰って子供にあげるの…」と言って葉を拾い、大事そうにしまっていました。

 

心は目に見えません。簡単に評価する事はできません。だからと言って、心を粗末に扱うと、結果として自分に帰ってきます。目に見える物や社会的評価ばかりを追い求めて来た方にとっては、自分の大切なものが自分からどんどん離れていった結果として、秋は喪失の痛みだけであり、自分には何も残らなかったという残酷な冬の訪れとなる事もあります。

 

夫婦共に百歳になろうかという老夫婦宅を訪問すると、ご主人は同じ話を初めてのように語ります。「雪の降っている中、手をつないで橋を渡ったんだ…」それは結婚の申し込みをしに行った、若き日の思い出です。そして「死ぬときは一緒に死のうと約束しているんだ」といつも話をしていました。ご夫婦は家族の都合で離ればなれに施設入所となってしまい、高齢に環境の変化は耐え難かったようで、間もなくお亡くなりになってしまいました。離れた場所で、同じ日に。

 

冬、木は枯れるのではなく来春に備えて準備をしています。春の到来を待ちわびるような、春の再会を確かに予感できる、そんな冬の訪れもあるのです。


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